1948年にトランジスターが発明されてから12年後の1960年、最初のオールトランジスター ギターアンプが発表され、 その2年後には最初のトランジスターエフェクトであるFUZZ BOXが登場しました。その後エフェクターのマーケットはトランジスター製品が席巻しましたが、アンプ市場では1970年台から80年台にかけて生産が増 加した時期を除き真空管アンプの領域を脅かすことはありませんでした。もちろん、Roland Jazz Chorusといった真空管アンプより廉価で素晴らしいサウンドを奏でるアンプも輩出されましたが、オールチューブアンプはその真の暖かさと倍音を豊富に 含んだリッチなサウンドによって不動の地位を譲ることはありませんでした。
トランジスターは安価で素子の劣化も無く、生産も簡単ですが音質は一般的に薄べったいものになります。トランジスターアンプを大音量で鳴らした時に発生す るパワーアンプの歪は生々しく耳障りです。一方、真空管はより音楽的に“ナチュラル”なサウンドを奏でます。真空管は歪んだ時に主としてに安定した倍音を 発生し、より良い自然な音質となります。 そのうえ、音量を上げるとそのサウンドはパワフルでより素晴らしくなります。 しかし、残念ながら真空管は高価で経年変化による音質劣化が発生し、エネルギー効率も悪くアンプは重くなります。
トランジスター:
1)Clipしてない信号を増幅 - good
2)Clipしてない最終出力を増幅 - very good
真空管:
1)Clipし(歪み)始めた信号を増幅 - good
2)音色のナチュラルさ - very good
以上の点を念頭に置きATR Technologyの開発を始めました。トランジスターとMOSFETにはただひたすら増幅と出力のみに専念させる傍ら、真空管には音色と歪みに係わる役割を与えることにしました。最良の音を求めた結果は、プリアンプ部とパワー部にそれぞれ真空管を搭載したハイブリッドアンプによるナチュラルで美しいハーモニックスを持った真空管サウンドこれらの基準点を心がけ、全く新しいATRテクノロジーの開発がスタートしました。
私のデザインではトランジスターとMOS-FETは地味な動作を受け持ちます。 それらは真空管が行った倍音による音の色付けやソフトなディストーションを生むといった音楽的な仕事を増幅するだけのものです。最高の音質を得るために、真空管をプリアンプとパワーアンプの両セクションに使用し、我々のハイブリッドアンプが美しく自然な真空管サウンドを奏でる理由になっています。
この新しいテクノロジーはハイブリッドアンプの最高峰と言える、Jupiter、Startrooper コンボ、そしてラックマウントパワーアンプATR4502の開発につながりました。私は”本当のハイブリッド”という用語を使います。 なぜなら、ATRテクノロジーでは、アンプのプリアンプセクションとパワーアンプセクションの両方に真空管とソリッドステートの技術が用いられているからです。
JupiterとStartrooperは45Wでクリーンとオーバードライブチャンネルを持った2チャンネルコンボです。 このアンプを始めてプレイした時、私がデザインしたユニークなデザインの結果に私自身が驚かされました。 繊細なレスポンス、オールチューブアンプに極めて近い音質とフィーリング、そしてATRテクノロジーがもたらした最も大きな恩恵は、 高価で音質劣化を発生する出力真空管を必要としない事がもたらす優れた対費用効果と、出力トランスを必要としないことによる軽量化です。
ATR4502は 2x45W(ステレオ) 、1x90W(モノラル)の1Uサイズパワーアンプです。 ステレオ/モノラルの切替はスピーカー・キャビネットを接続する端子によって自動的に切り替りる多機能なライトウェイトユニットです。
私はあなたがこれらのアンプをチェックするチャンスを得ることを心から望んでいます。
そして”本当のハイブリッド”が生み出す驚くべき”チューブ・ライク”サウンドに驚嘆するでしょう。
– Dolf Koch –