フィギュアドメイプルネック。
その美しさと華やかさで多くのプレイヤーを惹きつける反面、湿度の変化による「ねじれ」や「反り」が起きやすい悩ましいネックウッドです。
リペアマンとしてキャリアをスタートしたロジャー・サドウスキーが作るネックは、トーン、弾きやすさはもちろんのこと、耐久性、さらにはメンテナンス性までもがシビアに考慮されています。
状態変化の起こりやすい従来のフィギュアドメイプルは、耐久性、メンテナンス性といった点でロジャーが求めるクオリティを満たすことが出来ず、そのため、Sadowskyはこれまで、フィギュアドメイプルネックのオーダーを基本的にお断りしてきました。
しかし2010年、Sadowskyが新たにシーズニング工程を取り入れた”Roast”プロセスにより、耐久性、メンテナンス性を一切妥協することなく、Sadowskyクオリティと見た目の美しさを併せ持つフィギュアドメイプルネックの製作が可能になったのです。
それが「Roasted Maple Neck」
“Roast”プロセスは、ネックウッドを無酸素の状態で、200度まで加熱する乾燥方法。従来の強制乾燥は一時的に木材が含む水分を減らしますが、気候の変化や演奏中の汗によって再び水分を吸収してしまうため、ネックの状態を良好に保つことが困難です。これに対し”Roast”プロセスによる乾燥はネックウッドの湿度吸収を抑える効果を持ち、ネックの水分量を均一に保つことが出来るため、結果として「ねじれ」や「反り」が起こりにくいネックとなりました。
また、このプロセスの副産物として製造工程で発見することが難しかった欠陥材を発見する効果もありました。欠陥のあるネックウッドは加熱に耐えることができず、この時点でねじれが起きていしまいます。その欠陥ネックを製造ラインから排除することで、結果として製品の高いクオリティが保たれるのです。